大きな潮流と比較すれば、Rの増税はごく小さな雑音程度の意味しかもっていない。
興奮を呼ぶ新技術がインターネット・バブルをあおったのは確かだが、バブル自体は株式市場の熱狂と行き過ぎの典型であった。
そして、1980年代後半から90年代後半までの十年間には、これ以外に3回にわたって、それぞれ性格が大きく違うバブルとその破裂のサイクルがあった。
94年に住宅用融資を証券化したモーゲージ証券の大規模な暴落があり、さらに、トレーディングによる2回の危機があった。
87年に株式市場の暴落があった。
そして98年にはロング・ターム・キャピタル・マネージメント(LTCM)の危機があり、世界の金融システム全体の崩壊をもたらしかねないと連邦準備制度理事会(FRB)が懸念するほどだった。
この3つはいずれも、基本的な部分で新しい投資技術によって引き起こされている。
コンピューター技術が飛躍的に発展し、数学や工学の博士が大量にウォール街に流入したことで、金融工学という分野が生まれ、新しい投資技術が開発されるようになった。
1930年代のニューディール政策では、貯蓄金融機関(S&L)が住宅所有の機会を拡大する戦略の中心に位置付けられた。
S&Lが貸し付けの資金を確保できるようにするために、連邦政府はファニーメイ、ジニーメイ、FMという政府系機関を設立し、S&Lなどの適格金融機関から住宅融資債権(モーゲージ・ローン)を購入して、地域の住宅金融市場に流動性を供給できるようにした。
政府系機関は自らの流動性を確保するために、モーゲージ・ローンを証券化してモーゲージ・パススルー証券を発行するようになった。
その際にはまず、多数のモーゲージをまとめ(これをモーゲージ・プールと呼ぶ)、トラスト(信託)に移す。
ちは「クオンツ」と呼ばれており、昔ながらの資産クラスを切り分け、組み合わせて、投資家のニーズにぴったりの新商品を作ることができる。
大規模なコンピューター・トレーディングを使えば、株価や金利のごくわずかな変化を利用できる。
複雑な仕組み投資商品という幅広い分野が生まれ、ホールセール銀行業務に革命が起こった。
新しい技術や戦略にはいずれも危険な欠陥があり、市場環境が極端に厳しくなったときになってはじめて、それがあきらかになる。
これらの戦略が大規模になり、洗練され、はるかに大きな影響力をもつようになって、2008年には、世界経済全体を危険にさらすまでになっているのである。
モーゲージ証券の興隆、没落、復活トラストはこれらのローンで受け取る元本と利子の全額のうち一定比率を受け取る権利を示す証券を発行する。
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